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量子コンピュータが実現する「真の乱数」:次世代暗号とセキュリティの鍵

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こんにちは。Web3に興味があって、AIをもっと使いこなしたい中高年を応援するWeb3とAIマニアじいじのko_sanです。

量子コンピュータって、すごい計算ができるって聞くけど……もしかして、ビットコインの暗号とかも解読されちゃうの?

そんな疑問にお答えします。この記事では2025年4月23日のDecryptの記事を元に日本語でそのあたりの疑問について解説します。

え、それってブロックチェーンにも関係あるの?

めちゃくちゃある。スマートコントラクトとか、ウォレットの秘密鍵を守る“新しい盾”になるかもしれないんだ。

もし量子コンピュータが実用化されれば、これまで安全とされてきたビットコインやブロックチェーンの暗号化技術が、数秒で解読されてしまうのではないかという懸念が広がっています。

しかし一方で、その量子コンピュータを使って、「本当に予測不能な乱数=真の乱数」を生成する研究が進んでおり、逆に暗号の安全性を次のレベルへ引き上げる鍵としても期待されているのです。

本記事では、Decryptによる最新レポートをもとに、量子コンピュータが実現した「認証可能な真の乱数」とは何か、そしてビットコインを含むデジタル資産の未来にどのような影響を与えるのかを、初心者にもわかりやすく解説します。

Decrypt
Quantum Computers Take Massive Step Forward for Cryptography - Decrypt Researchers used a 56-qubit system to create truly random numbers that even the most powerful supercomputers couldn't predict or fake.
目次

◾️そもそも量子コンピュータとは?

量子コンピュータの基本概念

量子コンピュータとは、量子力学の原理を利用して情報を処理する新しいタイプのコンピュータです。従来のコンピュータ(古典コンピュータ)は、情報の最小単位として「ビット」を使用し、0または1のいずれかの状態をとります。一方、量子コンピュータでは「量子ビット(キュービット)」を使用し、0と1の状態を同時に持つ「重ね合わせ」や、複数の量子ビットが互いに影響し合う「量子もつれ」といった量子力学特有の性質を活用します。

量子コンピュータの特徴と利点

量子コンピュータの最大の特徴は、特定の計算問題において、従来のコンピュータでは非常に時間がかかるものを、より短時間で解く可能性がある点です。例えば、複雑な最適化問題や大規模なデータ解析、暗号解読などの分野で、量子コンピュータの活用が期待されています。

現在の開発状況と課題

量子コンピュータの研究開発は世界中で進められており、GoogleやIBM、Microsoftなどの大手企業や各国の研究機関が取り組んでいます。日本でも、理化学研究所が国産量子コンピュータの初号機「叡(えい)」を稼働させるなど、注目が高まっています。

しかし、量子ビットは外部環境の影響を受けやすく、安定した動作を維持するためには極低温環境や特殊な素材が必要です。また、量子ビットのエラーを訂正する技術や、量子コンピュータに適したアルゴリズムの開発など、実用化に向けた課題も多く残されています。

◾️量子コンピュータによる「真の乱数」生成の実現

従来の乱数の限界と量子力学の活用

従来のコンピュータは決定論的な機械であり、アルゴリズム(例:Knuth Shuffle)に基づいて乱数を生成します。しかし同じシードを使えば同じ出力になるため、外部から予測されるリスクがあります。
これに対し、量子コンピュータは「重ね合わせ」などの量子力学の原理に従って動作し、観測されるまで結果が確定しないため、本質的に予測不可能な乱数生成が可能です。

56量子ビットマシンによる7万超の認証済み乱数生成

Quantinuumの56量子ビット・トラップイオン量子コンピュータによって、70,000以上の「認証可能な」乱数ビットが生成されました。これは数秒で生成される一方、それを偽造するには世界最高性能のスーパーコンピュータ4台を長時間稼働させる必要があるほど、複雑かつ安全です。

◾️「認証可能」な乱数の重要性と検証プロセス

改ざん不可能な公開検証の達成

生成された乱数は、誰によっても改ざんされていないことが、スーパーコンピュータによる検証によって証明されました。検証にはクロスエントロピー・ベンチマーキングが使われ、乱数が従来の手法では生成できないことが確認されました。これは世界初の、公に検証可能な大規模量子乱数生成の成功例です。

スーパーコンピュータを用いた検証の現状と課題

ただし、この認証プロセスには膨大な計算資源が必要で、一般的な利用には向いていません。広く普及するには、コスト面や処理能力の課題を解消する必要があります。

真の乱数がもたらすセキュリティ革命と将来展望

暗号、ブロックチェーン、署名などへの応用可能性

認証済みの真の乱数は、より強力な暗号鍵生成、改ざん不可能なデジタル署名、安全な仮想通貨ウォレットなどに応用可能です。

特に「量子ランダムビーコン」として、誰にも操作できず、誰でも検証できる乱数提供が可能になれば、ブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムやスマートコントラクトの信頼性向上にも大きく貢献します。

実用化への道筋と将来のアクセス性

Quantinuum社では、Bellテストを活用して生成した「量子シード」を使い、従来のローカル乱数ソースをアップグレードする「Quantum Origin」というアプローチを提案しています。

専門家たちは、チップスケールでのQPU実装やクラウド経由での乱数提供が将来的に現実化すると予測しています。

◾️量子コンピュータはビットコインの脅威か、それとも守護者か?

ECC(楕円曲線暗号)への量子攻撃の懸念と実験的挑戦

Decryptでは、量子コンピュータが将来的にビットコインなどの暗号技術(特にECC)を破る可能性があると指摘しています。

Project 11によって「簡易版ECCの突破」に1BTCの報酬がかけられ、量子による攻撃実証の挑戦が始まっています。これはビットコインのセキュリティが量子時代において脅かされる現実性を示しています。

量子乱数の逆説的可能性:ビットコインのセキュリティを強化する技術へ

その一方で、今回のような量子コンピュータによる真の乱数生成は、量子時代に対応した強力なセキュリティ技術として、ビットコインの未来を守る鍵にもなりえます。

脆弱な擬似乱数に依存しないセキュリティ基盤が構築できれば、ウォレットの安全性も飛躍的に高まります。

◾️その他の重要なポイント

過去には、乱数の弱さが実際のセキュリティ事故につながった例も多数あります。

・2010年:ソニーPlayStationの秘密鍵流出事件
・2013年:Android SecureRandom脆弱性で仮想通貨盗難
・2014〜2023年:Polynonce攻撃によるBTCウォレットの被害(約10億円相当)
・2019年:YubiKeyトークンの乱数欠陥

こうした事例は、真の乱数の重要性と量子技術の可能性を再認識させる材料となっています。

◾️まとめ

量子コンピュータは、その量子力学的な特性を利用して、従来のコンピュータでは不可能だった「真にランダム」で予測不可能な数を生成することに成功しました。

この乱数はスーパーコンピュータによって「認証可能」であり、生成プロセスにおいて誰にも改ざんされていないことが公開的に証明されています。

この技術は、ブロックチェーン、暗号資産、オンラインバンキング、署名など、あらゆるセキュリティの基盤を一新する可能性を持つ一方で、実用化にはまだ計算コストという課題が残されています。

それでも技術は確実に進化しており、量子コンピュータは脅威であると同時に守護者にもなり得る存在として注目され始めています。

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