こんにちは。日本のNFTをみんなで盛り上げて応援したいko_sanです。
個人ブログの運営方針みたいなものってどうやって作ったらいいの?
そんな疑問にお答えします。”Building your
company’s vision”という論文が参考になります。
企業におけるビジョンはこれです。という会社紹介をウェブやパンフレットで目にしますが、「ビジョン」という言葉は当たり前の様に使われていながら、人によって解釈が異なっていたり、あいまいだったりする様です。
たまたま幸あれこさんのVoicyを聞いていたら、1996年にHBR(ハーバードビジネスレビュー)で発表された「Building Your Company’s Vision(あなたの会社のビジョンを構築する)」という論文が紹介されていました。
その内容が、企業だけでなく、個人のブログ運営などにも応用できるという興味深いので、論文を読んで、内容をまとめました。
■ビジョンを定義するフレームワークとは
企業紹介などに使われるビジョンという言葉は、人によって解釈は異なっており、あいまいですね。そこを、この論文の著者は「6年にわたる研究と、世界中のさまざまな組織のエグゼクティブとの継続的なワークを通じて、洗練され、検証された」フレームワークにして紹介しています。
それを図式化したのがこちらの図です。
ビジョンを、「コア・イデオロギー」と「将来の展望」の2つに分けて
「コア・イデオロギー」:コア・バリュー、コア・パーパス
「将来の展望」 :10〜30年のBHAG、鮮明な記述
という構成になっています。
中身について詳しく解説します。
■コア・イデオロギーを構成する、「コア・バリュー」と「コア・パーパス」とは
「コア・バリュー」:指針となる原則や信条
「コア・バリュー」は、「指針となる原則や信条」のことです。コアバリューについての説明のポイント引用します:
・市場の要求からではなく、企業自身のために育むべきという創業者の内なる信念から生まれるもの
・現在の環境、競争要件、経営の流行とはほとんど無関係に、自分たちのコアとなる価値を自ら決定するもの
・重要なのは、どのようなコア・バリューを持っているかではなく、コア・バリューを持つかどうか
・通常3~5個のコア・バリューを持つ傾向がある
コア・バリューを策定するにあたり、自分に対する5つの問いかけが参考になります。
・あなたの子供たちに、彼らが社会人になったときに持っていてほしいあなたの仕事でのコア・バリューは何だと言いますか?
・もし、あなたが明日の朝、退職して一生を過ごせるだけのお金を持って目覚めたとしたら、あなたはそのコア・バリューを持ち続けますか?
・100年後のあなたにも、現在と同じようにそのコア・バリューが通用すると想像できますか?
・ある時点で1つ以上のコア・バリューが競争力上不利になった場合、そのコア・バリューを持ち続けたいと思いますか?
・もしあなたが明日、別の仕事で新しい組織を立ち上げるとしたら、業種に関係なく、どんなコア・バリューを新しい組織に組み込んでいきますか?
ちなみにウォルト・ディズニー・カンパニーのコア・バリューは「想像力と健全性」だそうです。
「コア・パーパス」:組織の存在意義
「コア・パーパス」は「組織の存在意義」のことです。ポイントを引用します。
・単にお金を稼ぐだけでなく、組織の存在意義の深い部分にまで及ぶ
・仕事を意義あるものにし、優秀な人材を惹きつけ、動機づけ、維持するためには、これまで以上に明確な目的意識を持つことが必要
・特定の目標ではなく、その組織が存在する理由
単なる目的、目標ではなくて、存在する理由なんですね。これを導き出すのに有効なやり方が、5つのwhy?を問いかけることだそうです。その例を引用します。
「なぜそれが重要なのですか」と5回問いかけることが有効である。
・ある企業のコア・パーパスは「最高のマーケットリサーチデータを提供すること」から始まった。
・なぜそれが重要なのか?という問いに、幹部たちは「最高の市場調査データを提供することで、お客さまに市場をより深く理解していただくためです」と答えた。
・さらになぜを問いかけていうちに、チームのメンバーは、自分たちの存在意義は、顧客の市場理解を深めることだけではなく、顧客の成功に貢献することにあることに気づいた。・最終的なコア・パーパスは次の様になった:「お客様の市場の理解に貢献することで、お客様の成功に寄与すること」
・「売れるかどうか」ではなく、「お客様の成功に貢献できるかどうか」で製品を決定するようになった
成功している有名企業のコア・パーパスの例です。具体例としてわかりやすいですね。
・ウォルト・ディズニー:「アニメを作ること」ではなく「人々を幸せにすること」
・マッキンゼー・アンド・カンパニー:経営コンサルティングをすることではなく、企業や政府をより成功に導くこと
■将来の展望を構成する、「10年〜30年のBHAG」と「鮮明な記述」とは
「10年〜30年のBHAG(Big, Hairy, Audacious Goals)」
BHAGとは、10年から30年の長期的で、明確に定義された目標のことです。大きくて、チャレンジングで大胆なゴールです。ポイントを引用します。
・コア・パーパスが特定の目標ではなく、その組織が存在する理由であるのに対して、BHAGは、明確に定義された目標のこと
・コア・パーパスとは、永遠に追い続ける地平線の星、BHAGとは、登るべき山のようなもの。その頂上に到達したら、他の山へ移動する
地平線の星と山のたとえはわかりやすいですね。個人レベルに置き換えると10年、30年は長いので、3年、5年ぐらいとしても良いかもしれません。
「鮮明な記述」
「鮮明な記述」とは、明るい未来をより具体的に言葉や絵で記述することです。ポイントを引用します。
・目標を達成するとどのようになるのか、鮮明な描写でビジョンを言葉からピクチャーに変換できるもの
・目的を達成した時に見えてくる未来予想図
・創造とは、未来を予測することではなく、未来を創造することであり、正解はない
■個人レベルでビジョン・フレームワークを活用するには
この論文はともするとあいまいになりがちの、企業におけるビジョンの定義の方法を、明確にフレームワークとして整理されていてとてもわかりやすく、納得感があります。
このフレームワークは、企業だけでなくて、個人レベルでもブログ運営の根本的な目的や、その存在意義について考える上で応用が効きますね。
以下の問いかけについて、考える時間を持って、たとえばブログ運営のビジョンを
「コア・バリュー」と「コア・パーパス」「BHAG」「鮮明な記述」に分けて言語化してみてはいかがでしょうか。
単にPV数を上げて、収益を得るよりも、もっと深いレベルの目的が見つかるかもしれません。
私自身も時間をとってやってみようと思います。
■論文Building Your Company’s VisionのAuthorについて
□ジェームズ・C・コリンズ
コロラド州ボルダーに拠点を置く管理教育者および作家。
研究を行うための管理学習実験室を経営幹部と共に運営。
バージニア大学シャーロッツヴィル校で商業管理の講師も務めている。□ジェリー・I・ポラス
スタンフォード大学スタンフォード校のビジネススクールの組織行動と変革のレーン教授。変革をリードし管理するためのエグゼクティブプログラムのディレクターでもある。コリンズとポラスは、ビルト・トゥ・ラスト:ビジョナリー・カンパニーの成功する習慣(ハーパービジネス、1994)の共著。
■まとめ
HBRの論文「あなたの会社のビジョンを構築する」で紹介されている「ビジョンフレームワーク」について、内容のポイントをまとめて紹介しました。
企業だけでなく、個人レベルでも大いに活用できる考え方です。ぜひ活用してみてはいかがでしょうか?
参考になれば嬉しいです。
全文の英文はこちらのサイトから確認できます。
この論文の著者の本でベストセラーになっている本です。